「モータースポーツの光と影」の影の部分
ホンダチームF-1撤退。
やはり昨年の夏に純日本人プライベーターチームである、スーパーアグリの撤退の記事を書いた時にも触れました。
F-1には途方も無いお金がかかるという事を。
下請け会社にコストダウンを迫り、派遣切りなどのリストラを敢行。
本社がそんな状況の中で、F-1などやっていられない。
そういった事情は痛いほど良くわかるのです。
ホンダという会社でまず思い浮かべるのは、創始者である本田宗一郎氏でしょう。
彼は確固たるいくつかの信念を持って、会社を運営していたといいます。
血縁者を後継としない。
会社のトップにはエンジニア出身である事が条件。
TVCMにはタレントは使わない。
かつては自らの身分を隠し、自慢のホンダスーパーカブを乗り回し、若者相手に語っていたそうです。
「こういうのが理想的な4気筒エンジンなんだ。君たちもこういうクルマに乗らなきゃいかん。」
「こんなクルマが売っていたら、君たちならば買うか?」
そんな市場調査を自ら行っていたのでしょう。
私が免許を取った頃のホンダ車。
プレリュード ワンダーシビック クイントインテグラ バラードCR-X
そんなスポーティーでおしゃれなホンダ達。
そして深夜に放送されていたF-1中継。
今思えば、メーカー側がユーザーを育てていた・・・そんな気さえするのです。
今はと言えば、夢も希望も無いワゴンタイプのクルマのオンパレード。
ニーズにばかり気を取られ、内燃機関を使って走らせるクルマの素晴らしさを伝えようともしない。
ニッサンS13シルビア トヨタセリカXX いすゞジェミニイルムシャーターボ マツダRX-7 三菱ランサーターボ
そんなスポーティーなクルマを自慢気に乗っている若者たちって、最近見かけませんね・・・。
今朝、こんなニュースを目にしました。
「F1世界選手権から撤退し、売却先を探しているホンダF1チームが、拠点のある英国で、政府による公的資金注入の申請をする可能性が29日、浮上した。」
モータースポーツに育ててもらったホンダが、モータースポーツを切り捨てる。
かつてのホンダは「技研」でした。
挑戦する事をやめてしまった「技研」は、モータースポーツと共に私のような化石化した自動車ファンをも切り捨ててしまうのでしょう。
宗一郎氏が草葉の陰で泣いているようで、何だか辛いです。
最近のコメント