10月, 2008 のアーカイブ
前略、海の上から④
基本的にアナゴは夜釣りです。
まだ少々時間が早いようです。
私たちは、大量に余ったコマセを消費するべく、アジの仕掛けを用意します。
釣り方は、トリックサビキと呼ばれる数本付いた小さな針に、これまた小さなコマセアミを引っ掛けるようにして付けて釣る釣り方。
竿を出して数分でこのトリックサビキにアタリが出ます。
おぉ!アジか!
と思いきや、小さな海タナゴさん。
小さいので食べる部分がありません。
リリース。
しばらくしてまたアタリ。
今度は10Cm位のこれまた小さなメバルさん。
同じく小さすぎなのでリリース。
その後、海タナゴと小メバルを繰り返す私たち。
そしてクライマックスはやってまいります。
午後4時を回った頃、私の竿に小気味良いアタリ。
元気に左右に走る魚は、今までの魚よりも明らかに違う銀色の体色。
待ちに待ったアジであります!
数分後に叔父貴の竿にもアジが掛かる。
その後、しばらくアタリが無くなってしまいました。
アタリが無くなって数分後、叔父貴のアジ仕掛けにアタリが出ます。
おっ!アジか?
と思いきや、25センチほどのカマスでした。
これはなかなかの高級魚。
塩焼きにして食べると美味しい魚です。
程よい大きさと言う事で、このお魚はキープさせていただきました。
そして時間は4時を回った頃。
そろそろアナゴ用の竿を出す時間です。
アナゴの一番いい時間帯は、午後7時から10時ごろ。
それまでに様子見で竿を出しておこうと言うわけです。
保田で釣ったソーダをさばき、切り身にします。
投げ竿にぶっこみ仕掛けを繋ぎ、餌を付けてぶん投げます。
竿に鈴を付けて完了。
投げ釣りは待つ釣りですから、その間にアジを狙えるわけです。
やがてそろそろ暗くなる頃、またまたアジのアタリが出ます。
私の竿にアジのアタリ、そして叔父貴の竿にも!
ついに私たちの前に、アジの群れがやってきたのです。
そしてすっかり暗くなる頃には、ほぼ入れ食い状態になってきたのです。
アジの入れ食いを楽しむ私たち。
そして午後6時を回る頃、最後のクライマックスがやってきます。
アジ釣りに没頭する私たちの耳に、鈴の音が飛び込んで来たのです。
2本出した投げ竿のうちの1本が、しなやかにしなっています。
叔父貴が竿をあおり、確かな手ごたえを感じながらリールを巻きます。
足元まで巻き上げた仕掛けの先には、かなりの長さを誇る獲物の姿。
巨大アナゴです!
玉網など持たない私たち。
叔父貴は強引に獲物を水面から引っこ抜きます。
全長60センチ。
太さは4センチはあろうかという、巨大なアナゴが針をしっかりと飲み込んでいました。
アナゴはすっかり針を飲み込んでおり、針を外す事が困難なようでした。
「おい猫、これどうにかならんか?」
と、さすがの叔父貴もお手上げの様でした。
私は魚を受け取り、針の掛かっている場所を確認しようとしたその時。
アナゴは最後の力を振り絞って私の指に噛み付きます。
その痛い事・・・。
「イデデデデデデ!」
慌てて振りほどこうとする私ですが、アナゴも必死です。
なかなか離しません。
ようやくアナゴが私の指を離すと、哀れ私の指は皮がむけてしまいました。
以前にもアナゴに噛み付かれた事はありますが、これほど痛い思いはしませんでした。
さすが巨大アナゴ、パワーが違います。
巨大アナゴをゲットした私たち。
まだ釣れ続くアジ釣りを続けようと思いきや、天空から水滴が落ちてまいりました。
アジも釣れ続いており、アナゴの本格的な時間はこれから・・・。
しかし、雨には勝てません。
後ろ髪を引かれるように、釣り場を後にしました。
少し名残惜しい気もしましたが、久しぶりに叔父貴と釣りを楽しむことが出来、しかもたくさんのアジと大物アナゴも釣ることが出来ました。
今回はこれで大満足です。
考えて見ますと、全ては一番初めに私が釣ったソーダ鰹から始まりました。
もしも、あの魚が釣れていなければアナゴ狙いにこの場所には来なかった訳です。
そして何か私たちにメッセージをくれたような気がする、あのウミネコさん。
もしかすると本当にひまわりの魂がウミネコさんの身体を少しだけ借りて、私たちに会いに来てくれたのかも知れません。
午前3時に家を出て午後6時過ぎまで、思い切り楽しんだ一日。
多くの魚たちとかわいらしいウミネコさん、そして今日という一日に感謝です。
釣果はご覧の通り。
アジ29尾
シロギス3尾
カマス1尾
ソーダ鰹1尾
巨大アナゴ1本
その他、ベラ、小メバル、ヒイラギ、海タナゴ、セイゴ、等をリリースまたはウミネコさんに差し上げました。
さて、次回更新はお魚の調理編です。
前略、海の上から③
キアヌに美味しいお刺身を食べさせる約束です。
焦りから、少しばかりフラストレーションが溜まってきます。
それを察した叔父貴が、私にこんな話をしてくれました。
「晴天白日という言葉がある。
いい天気じゃないか。
こんな日にのんびりと釣り糸を垂れるって、素晴らしい事だ。
そんな幸せを感じるのも、人の器量だと思わないか?
俺は猫とこうして釣りに行けるだけでも幸せだよ。」
目標ばかりを追いかけていた事に気付く私。
大事なのはそのプロセスなのだと言うことを、アジが釣れない事ですっかり忘れてしまっていました。
気付くと、私たちのボートのすぐ傍に、一羽のウミネコさんが泳いでいます。
かわいいやつです。
私は昼食用に買ったパンを取り出し、コーヒーで一服。
パンのきれはしをそのウミネコさん目がけて放ってあげました。
彼女はそれをついばみ、ギャーギャーニャゴ~と鳴きました。
しばらくすると、待望のアタリがぶっこみ仕掛けに現れました。
またシロギスかな?と思いきや、あまり美味しくない魚の代名詞のベラ。
リリースしようと思いましたが、私の後ろを見るとさっきのウミネコがまだ傍にいてくれたのです。
再び彼女に向かってベラを放ってあげると、見事にキャッチ。
かわいいやつだなぁと思いながら、その後度々釣れるベラを彼女にあげました。
やがて手渡しで餌を渡せる程近寄ってくるウミネコさん。
すっかり私に馴れてしまったようです。
「もしかして、その鳥ひまわりなんじゃないのか?」
と、叔父貴。
「そんなバカな・・・」
ベラしか釣れない私たちは、ボートを降りて帰り道の富津港でアジを狙おうという提案が出ました。
確かにこのままではラチがあきません。
目標の黄金鯵を諦めて、大量に余ってしまったコマセを消費しながら僅かな望みを抱いて陸からアジを狙ってみることになしました。
富津港なら真イワシが入っているかもしれないし、アジも混じる可能性もあります。
という訳で、ボート屋に向かって漕いで行きます。
しかしどういう訳か、先ほどのウミネコさんが私たちのボートに付いて来ます。
餌をあげたので当たり前なのでしょうが、これほど野生の鳥になつかれたのは初めてです。
ボートを上げて、ボート屋の親父さんに戦況報告。
他の人もあまり釣れていないと言う事です。
ボート屋の親父さんと釣り談義に花を咲かせていると、突然叔父貴が声を上げます。
「おい、猫、アレを見ろよ!」
海の方を指差す方向を見ると、さっきのウミネコさんがいるではありませんか。
とうとうボート屋さんまで付いて来てしまったようです。
「お前、本当にひまわりなのか?」
ちょっと不思議な体験をしました。
とてもかわいらしいウミネコさんに別れを告げ、私たちはソーダ鰹一匹とシロギス3匹を持って、富津港に向かいました。
富津港に向かう車中、叔父貴と話しておりました。
目標の黄金鯵は釣れなかったけど、ソーダ鰹の凄いファイトは味わえたしキスも釣った。
後は残ったコマセを処理して、運が良ければイワシかアジを数匹でも上げられればいいか・・・。
すると、思い出したかの様に叔父貴がこんな事を言い出します。
「そう言えば、ソーダ鰹ってアナゴの最高の餌になるんだよなぁ・・・。」
ん?アナゴと言えばキアヌの好きな魚の第2位ではありませんか。
それならば、夜まで粘ってソーダを餌としてアナゴを狙ってみるか。
そう言う事であれば、富津から程近い私たちがアナゴを狙ういつもの場所にでも行ってみるか!
そこは、巨大アナゴが釣れる私たちのシークレットポイント。
そこならば、運が良ければアジも入っているかもしれない。
アナゴが釣れればキアヌ君も納得してくれるはず。
再びテンションが上がって来た私たちは、一路シークレットポイントへ急いだのです。
前略、海の上から②
持参したおにぎりをぱくついて待っていると、しばらくしてボート屋の親父さん登場。
早速ボートを出していただきます。
ポイントまでは船外機付きのボートで私たちのボートを引っ張って行ってくれるサービス。
ポイントに到着した私たち。
早速仕掛けを作ります。
私の仕掛けは、大物用に一本付け餌のオキアミを付けて置き竿にします。
そしてもう一本はアジのサビキ仕掛けを手に持ちます。
先に大物用の竿をを仕掛け、その後サビキ仕掛けを用意していると、早くも大物用のラインが左右に走り出します。
竿を手に持つと、強烈なファイト。
魚はもの凄いスピードで走り出します。
この引きはアジのものではありません。
もしかすると、私の期待通りワラサ(鰤の子)でもかかったのではないか?
左右に走ったと思えば、急に沖の方へ突っ走る魚。
リールのドラグは悲鳴を上げ、ガンガンとラインを出して行きます。
やがて魚は力尽き、私の元へ寄ってきます。
さて、魚種は何だ!?ワラサか!
しかし、魚を取り込んでがっかり。
30Cm程のソーダ鰹でした。
私たちは嫌な予感がしました。
魚食魚であるソーダが入っていると言うことは、臆病なアジなどの魚はいなくなっているのではないか?
予感は的中する事になります。
いくらあおっても、アジ用のサビキ仕掛けにはアタリが現れません。
すると、叔父貴が置き竿にしておいた竿に反応が出ます。
叔父貴が置き竿にしてあった仕掛けは、底の魚を釣るためのぶっこみ仕掛けにオキアミの付け餌を付けた物。
大きくしなる竿から上がってきた魚は、20Cmを超える大きなシロギス。
この時期でも、まだシロギスが残っているようです。
しかも、大きなサイズ。
私も大物用の仕掛けをぶっこみに切り替えます。
しばらく、叔父貴が2匹目のシロギスをゲットし、私も1匹のシロギスを取り込みます。
本来は高級魚のシロギス。
天ぷら定食の上を注文しなければ付いてきません。
しかし、今回の私たちの狙いはあくまでも「黄金鯵」。
高級魚のシロギスも、いわゆる釣り用語で「外道」となってしまいます。
その後、シロギスのアタリも無くなり、全く何も釣れない状態に陥りました。
釣れない釣りくらいくたびれるものはありません。
「つまんねーな・・・」
と呟く招き猫。
このままホボウズで終ってしまうのでしょうか?
前略、海の上から①
大抵はろくな事を教えてくれないのですが、その中には非常に良い事も混ざっているのです。
叔父貴は寅さんを地で行くような生活をしており、常に全国を飛び回っています。
その叔父貴が久しぶりに帰ってまいりました。
叔父貴にはひまわりの事を知らせる事も出来ず、帰ってきて彼女の事を知り大変驚いておりました。
早速ひまわりのお墓参りに行ってくれた事は、言うまでもありません。
その叔父貴、私と魚釣りに行きたかったらしく早速計画を立てることになりました。
さて、何を釣りに行こう・・・。
一応キアヌにお伺いを立てます。
キアヌの大好物のお魚は、アジのお刺身あるいは煮アナゴ。
どっちがいいかキアヌに聞いてみます。
すると答えは・・・
「ぼく、あじのおさしみがたべたいです!」
という訳で、叔父貴とアジを狙いに行くことになりました。
私のお勧めのアジスポット。
房総の保田と言う所があります。
そこは房総半島が誇るブランド鯵「黄金(きん)鯵」が釣れる所なのです。
鯵という魚は、回遊魚なのです。
つまり、潮の流れに乗って様々な場所を旅をして廻るお魚なのですね。
しかし、そんな鯵の中にはすっとぼけた魚がいます。
旅などをせずに気に入った場所にずっととどまるのです。
これを「居付き」と言います。
大分県佐賀関の関鯖や関鯵がその有名な例です。
その関鯵と同じ様に、房総の保田周辺で居付いているのが「黄金鯵」という訳です。
この「黄金鯵」は、体色は金色に輝き脂も素晴らしく乗り、お刺身にするととろける様にうまいのです。
ソムリエの田崎氏によれば、関鯵に匹敵するかあるいはそれ以上の味だと言わしめた程なのです。
私と叔父貴は、その「黄金鯵」を狙いに保田へ行く事になりました。
保田には、海で手漕ぎボートを出して釣らせてくれるボート屋さんがあります。
前日にそのボート屋さんに予約の電話を入れます。
久しぶりに電話をする保田のボート屋さんの親父さんによると、先週まで非常にアジが釣れていたとの事。
しかし、今週に入ってあまり芳しくない・・・。
まぁ、私たちは魚釣りに関しては自信がありましたので、何とかなるだろうと早朝3時に出発しました。
さて私招き猫と叔父貴は、日本一の黄金鯵を釣り上げることは出来たのか?
そしてその驚きの調理法は?
今回は久しぶりの長編記事です。
乞うご期待。
マリネ
一匹の猫が我が家にやってきました。
キジトラ模様のオス猫。
まだ掌に乗ってしまうほどの子猫でした。
彼はひまわりの職場の人が、近所で捨てられていたのを拾ってきた猫でした。
貰い手がなく、いつまでも病院の職員控え室にいれるはずもなく。
仕方なくひまわりが預かってきたと言う訳です。
しかし、当のひまわりもペット禁止のアパート暮らし。
しかもそのルールを破って、既にメス猫を飼っていたひまわり。
という訳で、廻り回って我が家にその猫はやって来たのです。
「ねーねー、猫預かってよ!」
という電話を受けたのは、私が気分良くお気に入りの浜田マリのCDを聞いていた時の事。
私の家にも当時やーやと言う名の猫が住んでいたのです。
「預かるだけだよ」という事で了承。
迎えに行った私は、子猫のかわいい仕草にすっかりやられてしまったのです。
浜田マリを聞いていた時に来た猫という事で、マリ姉→マリネと活用され、彼はマリネと名付けられました。
その後私たちは結婚し、「預かるだけ」という約束はいつの間にか忘却の彼方へ去っていったのです。
そして我が家の猫事情は、彼女が連れて来た「お嬢」、私が元々買っていた「やーや」そして、新人の「マリネ」と3匹体制になってしまいました。
その後、「お嬢」は病気で、「やーや」はオスと言う事で何処かへ旅立ち、「マリネ」一匹になってしまいました。
私もひまわりも無類の猫好きでした。
「マリネ」と一緒に飼われた猫は、数々いました。
しかし、猫にとって最大の難敵である人間の赤ちゃんの誕生によって、「マリネ」以外の猫たちは房総の叔父の家に里子に出されてしまいました。
一匹だけ残ったのは、今となっては年老いた老猫「マリネ」。
オス猫の習性って、ご存知でしょうか?
飼い主に亡き骸を見せたくないらしいですね。
たった一匹残った老猫は、今まで決して出ることが無かった数センチ開けた窓から、旅立って行きました。
ひまわりが旅立ってから、ちょうど1年後の事でした。
マリネは今頃、ひまわり母さんに甘えているのでしょうか・・・
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